[コラム]AI vs 教科書が読めない子どもたち(東地区 島田 祥生)

AI vs 教科書が読めない子どもたち 新井紀子著 1,500円(税別) (東地区 島田 祥生)

何年か前、アメリカのある研究機関が「近い将来仕事の4割はコンピューターに置き換わる。」と発表し、センセーショナルを巻き起こしたのは、記憶に新しいことと思います。著者は、「東ロボくん」と名付けた人工知能を我が子のように育て、東大合格を目指すチャレンジを試みて来た数学者です。ついに、MARCH(明治・青山・立教・中央・法政)の合格レベルに達しました。東大合格まではたどり着きませんでしたが、開発の間に、大変なことに気が付いたとのことです。「子どもたちが、教科書を読めていないのではないか??!」

東ロボくんの勉強をもとに、「リーディングスキルテスト」を開発し、全国2万5千人の基礎的読解力を調査した、その結果、恐ろしいことが起こっていることが分かったということです。このコロナ騒ぎで、ますますAIなる言葉が目につくようになりました。本当に、分析力は凄い。皆がAIに頼り始め、前出の4割失業も、絵空事ではなくなってきた感があります。

問題を読まずに回答していくデジタルドリルをこなす能力がAIの最も得意とするところ。今の教育は、その技量を高めることが中心。AIの性能向上は顕著で、人間が到底太刀打ちできません。AIは意味を理解していない。だから、読解力を磨くことに、活路を求めなければ・・・。ところが、「なんだか学校の先生の言っていることがわからない」「教科書は読んでも分からない」そんな子どもの実態が明らかになりました。豊富な事例をもとに、この問題を解説してくれています。求められるのは、「意味を理解する」人材の育成。

たんけん工房は、それを手助けする手立てを提供できないものでしょうか。