[コラム]科学クラブ支援への新たな取り組み(東地区 島田祥生)
■ 科学クラブ支援への新たな取り組み―学校主導の科学クラブへ―
(南吉田小学校科学クラブ支援 2018年 島田祥生)
南吉田小学校は、在校生の4割ほどが、東南アジア出身の子どもたちで、中国語が飛び交うなど、インターナショナルな雰囲気を醸し出しています。南吉田小には、2013年来、支援を行ってきました。年4回ほどでスタートしたのち、すぐ1年を通して、に。我々が用意したリストの中から、クラブ員と先生が希望をまとめ、我々が、材料を用意し、当日指導していました。子どもたちの反応を見るに、それはそれなりに意義がありましたが、疑問もありました。この春着任した校長先生に、改めて支援を依頼されたので、提案させていただきました。
「学校主導のクラブ運営に挑戦しませんか」担当の先生が決まり、早速意見交換。お二人の担当の先生が計画を拵えてくれました。年10回のうち、はじめの2回は助走期間。そのあと2回を一組として、4カテゴリーを子どもたちに提案させる(例えば、光、力、音・・・)。前半で計画を、後半で実験や工作。4月の1回目に、4つのカテゴリーが決まりました。「水」、「電気」、「磁石」、「風」。さて、「水」では、こども達が、どのような計画にまとめるか。まとめられるか。我々は、どのようなサポートをするのか。今から、楽しみな半面、ハラハラしています。我々も出所をしっかりと見極め、子ども達に主体性を持たせる。責任が重くなりました。実施報告―その1―
さて6月。「水」についての企画の日です。(水の)三態!結晶!水鉄砲!・・・。子どもたちの発言を、先生が板書していきます。「水の体積は変わらない」との4年生の発言に、「それって、押すと、空気の体積は変わるが、水は変わらない。ということ?」「どのような実験をすれば、確かめられるの?」と先生。これを、浮沈子で確かめることになりました。他の提案については、「準備に時間が必要」「材料の入手が難しい」などとの、工房スタッフの遠山さんの丁寧な解説で、みな納得顔でした。
実験の日。
ペットボトルを忘れてきた子も少なく、まずは、お魚型のたれビンを使った浮沈子作り。全員、難なくクリア。工房スタッフの福田さんから、課題が出ました。「ストローとゼムクリップを使って、浮沈子を作りましょう。」みんなで一生懸命考える班、とにかく作り出す子ども、などなど。ストローを短く切って折り曲げ、ゼムクリップを挟むとできると分かった途端、次なるチャレンジが始まりました。長いストローに、ゼムクリップを目いっぱい挟んでみたり(右の写真)・・・。「ゼムクリップの重さ分だけ、空気の体積を増やすとよい。」そうです。次回9月は「電気」。調べてくるようにとの「宿題」が出ました。実施報告―その2―
「電気」をテーマに、何をやりたいか、企画の日です。なかなか、発言がありません。先生が、「3年生、もっとやりたかったことはなに?」「4年生、もっと知りたかったことはなに?」と、水を向けました。出てきました、「発電」「静電気」・・「発電」することに、みんな興味を持っていますね。で、湿度が高いから難しいよと言ったにも拘らず、「静電気」で押し切られました。実験の日は、スズランテープで作った電子クラゲに大騒ぎ。電子振り子は、サンプルを見ただけで、説明も聞かずに拵えて、動かした子が数人。勿論、手こずった子も・・・。翌月、次のテーマ「磁石」の企画の日です。進行を部長に任せました。「昨年やったことや、結果が分かっているのはやめようよ。」との、先生の発言で、「発電機」が、僅差で決まりました。発電に惹かれているようです。実験は12月の末。時間が余ったので、先月の静電気の積み残しの、「百人おどし」。恐々と大騒ぎでした。さて年末のクラブの日は、どうやって、みんなの目を輝かせるか。難問デス。
実施報告―その3 まとめ― 島田祥生
「電気」は、発電機。まずは、モーターを分解して観察。ローターが精巧にできていることに、みんなびっくりしていた。モーター2台をつないで、LEDを光らせる。みんな、あっという間に組み立てて、またまた想定外のことを・・・。モーターのまわる原理には、数人が喰いついてきた。発電の原理は、難しかったようデス。次は「風」。あまりにも身近なためか、やりたいことがいっぱいで発散気味。結局、「風力車」を作ることに。羽根を作るのに、みな四苦八苦。でも、これが走りを決めることを、体験したようです。今年1年の纏めです。とにかく挑戦してよかった!先生方も、子どもたちも、活き活き。
・お二人の先生の、壺を得た指導が光っていた。
・子どもたちの、自由な発想が広がっていた。
・我々にとっても、時間内に収めるための工夫など、いい経験になった。